“顧問”という言葉の意味を常に考えて仕事をしたい

2013 4
加藤会計事務所  所長税 理士
加藤吉郎 先生
東京都荒川区東日暮里5-22-9 加藤ビル3F

会計事務所を取り巻く環境はなかなか厳しいですが、その中でも積極的な試みで元気に活動していらっしゃる税理士の先生が数多くいらっしゃいます。そのような先生のお話をお聞きする本コーナー。レガシィのCD・DVD、実務ツールマニュアルの活用法についてもお聞きしています

先生はもともと食品関連の企業にお勤めだったそうですが、税理士を目指されたきかっけは何だったのでしょう。

加藤先生

私が最初に就職したのはスーパーマーケットでした。配属先が魚売り場で、マグロの解体などに4年ぐらい従事していました。

「生鮮3部門」と呼ばれる「鮮魚」「精肉」「青果」は、スーパーマーケットの中では体力的に最もきついと言われる部署です。年を重ねて体力が落ちていくことを考えると、長く続けていくのは厳しいと考えていました。そこで、本社の管理部門に勤務したいと考えました。

そのためには、何か国家資格を持っていたほうが良い、と考え、父親からも、「企業の中枢部門は経理だ」と聞かされていました。そこで、経理関係でトップの資格といえば税理士だろう、ということで勉強を始めたのがきっかけでした。

その後、独立開業のきっかけとなる、大きな出来事があったそうですね。

加藤先生

食料品を扱う上場企業でしたので、将来性については安心しておりましたが、ある日突然大手スーパーマーケットに吸収合併されてしまいました。

このままではまずいという危機感を持ちましたので、思い切って会計事務所に転職、経験を積ませていただき、個人事務所として独立しました。

スーパーマーケットに就職する時は、「寄らば大樹の陰」の考えでしたが、会計事務所で働いて社長さま達と接していくうちに、自分も個人事業主として生きていきたいと考えました。

独立されて当初は、顧問先も少なくご苦労も多かったかと思いますが、のようにお客さまを増やしてこられたのでしょうか?

加藤先生

独立して間もない頃は、税理士会などさまざまな所でセミナー講師をさせていただきながら、先輩の先生方からお客さまを紹介していただきました。

また、私は東京農業大学の出身ですが、OB会などに出席しても税理士という職業に就いている先輩方はほとんどいらっしゃいません。従って、とても珍しがられ、お客さまを紹介していただいたことが何度もありました。

ただ、私が何もしないでお客さまを紹介していただけることはありませんので、名刺交換や、お会いした当日か翌日には手書きでお礼の手紙を送るように努めていました。

その後、年賀状や事務通信を送り続けていると、2年から3年すると数十社に1社ぐらいの確率で、顧問を替えたいとのご連絡をいただきます。

あとは、天野先生がお話しされていた「恩人」です。この言葉を知ってから意識的に恩人を作る努力をしています。今は新規のお客さまのほぼ9割が、既存のお客さまからのご紹介です。

「なぜ私を紹介していただけるのでしょうか?」とお客さまにお聞きしたことがあったのですが、答えは「人柄がいいから安心して紹介できる」「まじめにきちんとやってくれるから」。

「経営のアドバイスがいい」などのような答えが返ってくるのかと思っていましたので、正直意外でした。

考えてみますと、私が心掛けてきたのは、社長さまの話を徹底的に聞くことでした。思い返してみても、どちらかというと会社の数字がどうの、というより、従業員の問題など悩みを聞いて差し上げることのほうが多かった気がします。

私は徹底的に社長さまの話を聞くだけで、問題解決は社長さまご自身がされています。私が解決できるわけではないのですが、仮に答えが出なくても、満足していただけるようです。

これまでのお手伝いの中で、先生が嬉しかったことを教えてください。

加藤先生

ある会社さんで、最初に決算書を拝見させていただいた時、今の状態が続くと財務的に危険な状況になると思いました。そこで、現状を正確にお伝えし、具体的な経費削減策を提案させていただきました。それを実行していただき資金繰りが改善でき、社長さまから「先生に足を向けて寝られない」と言われた時は本当に嬉しかったです。

経営者の悩みを徹底的に聞くことで、解決していくサポートができれば付加価値が出ます。求められているのは、「すぐ身近にいる経営相談の相手」ではないでしょうか。

また、別の社長さまですが、従来の顧問税理士に対して不満を持たれ、私のところ来られました。初めてお会いした時に、「先生、顧問料とはなんでしょうか? 会社の顧問だったら単に数字の報告だけではなく、会社の現状がこうなので、このようにしたほうがもっと資金繰りが良くなるなど、しかるべきアドバイスをするのが顧問ではないのでしょうか」と言われたことがありました。

これには正直「ドキッ」としました。経営者は本当の意味での顧問を求めているんだ、と感じました。

これからは顧問という言葉の意味を常に考え、よりお客さまに選んでいただける会計事務所になっていきたいと思います。