“こちらから押し付けない”と満足度は高くなる!

ご自身が大家業を営む税理士として、大家さんと対面で向き合うのではなく、同じ立ち位置で隣り合い、共感し、体験と専門知識をご提案することで、大家さんからの支持を得ている先生です。
2011年12月に独立、2012年5月には従来よりも大きな現在の場所に事務所を移転されました。
将来的には人を雇って事務所を運営していきたいと考えていましたが、独立して2 ? 3年くらいは一人でと考え、自宅で業務を行っていました。
ところが、昨年(2012年3月)の確定申告で、一人では業務が円滑に進まないことを感じ、いよいよ人を雇おうと思いましたが、さすがに自宅では限界がありました。そこで、当初計画より早くなりましたが、事務所を借りることにしました。
一人では手が回らないほどお手伝いが増えた理由は何でしょうか。
一番大きかったのは、大家さん向けのセミナーや大家さん仲間で主催している「大家さんの会」です。
もともと、実家が大家業を行っていて、自分自身も税理士になる前から携わっていました。しかし、その時にお願いしていた顧問の先生からは何の提案もありませんでした。
逆に私の方から、「こうしたらもっと良くなる」というアイデアを伝えると、「確かにそうです」と同意はしていただけます。そうであれば最初から提案してほしいと思いましたが、それと同時に、このアイデアは自分自身が大家業をしているから分かることであり、大家業に詳しくなく、実体験をしたことがないと提案がしづらいのではと感じました。
したがって、税理士を目指した時も、大家さんに特化したいと思っていました。そして、このことが他の先生との差別化にもなり、“大家かつ税理士”としてのセミナーなどからお客さまが増えていきました。今では、お客さまの90%以上が大家さんです。
それでも、セミナー参加者からお客さまになっていただくには、それなりの工夫がないと難しいと思いますがその辺りはいかがですか。
セミナーは基本的に無料のものが多いです。「大家さんの会」もボランティアであり、大家業としての立場から、税理士としての専門知識を他の大家さんに提供して応援していくという考えで行っています。逆に、他の大家さんと接することで教えてもらうことも多々あります。
したがって、セミナーでは営業をしていません。自分も大家なので、参加者の皆さんと同じ立場で隣り合って話せるのが良いようです。純粋に来ていただいた方にセミナーで満足していただくように心がけています。
セミナーに満足していただけると、繰り返し参加いただけます。そうして何度も係っていくと自然により親しい関係を築いていけるようです。
“こちらから押し付けない”。すると満足度は高くなります。私自身、営業の経験がないので試行錯誤ではありますが、セミナーにはこれからも力を入れていきたいと思っています。
大家業を知っているからこそ喜ばれたお手伝いを教えてください。
昨年の確定申告で、あるお客さまから「金利交渉したい」と言われました。確かに、高い金利で借り入れをされていましたので、概算で今後の損益計算書などの資料作成をし、併せて交渉のアドバイスをしました。その後、お客さま自身でこれらの資料を持って交渉に行き、見事に交渉が成立したとのことで喜ばれました。
大家さんには、金利を安くしたいという思いがあるのは分かっていますので、こうしたプラスアルファで付加価値を付けていくことが重要だと思います。税金の計算だけであれば、どんどん顧問料は下げられてしまいます。
将来的には賃貸業界を盛り上げていきたいと思っています。そのために、感覚的には税理士という意識を取り払い、お客さまにどのようなサービスがご提供できるかを枠にとらわれずに考えています。
先生には私どものCD・DVDに、講師としてもご出演いただいていますが、反応はいかがですか。
お客さまからは、CD・DVDに出演しているすごい先生なのだな、と思ってもらえているのではないでしょうか。