自分の事務所でやってないことはお勧めできない

税理士法人PLUS - ONE  代表社員 税理士
三星剛 先生
埼玉県戸田市新曽330-1 グランド静扇201

やる時に悔いは残したくないので迷った時にはやる、多少の失敗は自分の経験値になる。やりながら考えていくというのが三星先生のモットーだそうです。

 個人事務所から税理士法人へと組織変更するにあたり、代表社員に就任にされたそうですね。

三星先生

もともと、太田忠廣先生が1966年に太田忠廣税理士事務所として開業された事務所に、縁があって入所しました。太田先生は私よりもふた回りほど先輩でしたので、法人化をしていく際には、太田先生からの打診もあり私が代表になりました。

法人名については、どんな名称がいいのか考えていく中で、プラス思考の「PLUS」という言葉を考えたのですが、どうも「PLUS」だけだと収まりが悪かったので、それであれば「ONE」を付けてみたらどうか、ということになり「PLUS-ONE」としてみたら全体的なバランスが良かったので決めました。

後は、「ウルトラCは無いけれど、着実に一歩前進」という想いも込められています。

 事務所の「プラスワン」として、大切にしていること、目指していることはなんでしょうか?

三星先生

私はもともと金融機関に勤め、その後、会計事務所に入所しました。当時、事務所にお客さまがいらっしゃって帰られる時に、事務所の職員が「ご苦労さまでした」と声をかけていました。その時になんで「ご苦労さま」なんだろうと、違和感を覚えたのは今でも記憶に残っています。

我々は別に特殊な業界ではなくサービス業なのですから、そういうところも適切に対応していかねばならない。逆に自分がお客さまの立場で考えたときに、おかしいと思うことを感じることが大切だと思います。

これからは、「税理士事務所だから」というものはなくなっていくのではないでしょうか。したがって、税理士事務所業界の中でというより、サービス業の中でどう生き残っていくか、ということを考えています。その中で税務という発想があるのかもしれません。

事務所の「プラスワン」としては、他の事務所と違いを出すために、MAS監査の導入を少しずつ進めてきているところです。

今は「自己MAS」を推進しています。まず自分たちの事務所でMASを実践していき、その中でうまくいったことをお客さまに提供できれば、我々も適切な説明ができます。

いくら、お客さまのところで「経営計画を作りましょう」「予実管理をしましょう」と言ったところで、自分の事務所でやっていないことはお勧めできないということです。

さらに、「商売」から脱却して経営的な視点を持ってもらい、気付かれていないお客さまには気付いていただく。

そのために、まず私自身が経営コンサルタント講座にも参加して勉強しました。アンケートを取ると、社長さまの身近な相談相手として「税理士」は必ず上位に上がってきます。しかし、ある程度経験則でお話はできますが、もともと経営の勉強をしてきているわけではないので、自分の事務所で行っていることの範囲でしかお話しができないのであれば、それでは不十分だと思います。

したがって、経営に関する研修に参加したり「自己MAS」に取り組んでいます。

 MASは時間や労力が必要になります、通常業務で忙しい中で取り組んでいくためには工夫されている事はありますか?

三星先生

まず「やる」ということを決めてしまうことです。そこからそれを実現する方法を考えるようにしています。

我々の業界は、年末から3月にかけては多忙極めるため、それまでに何かやりたいと思っていたことも、この期間ですべて飛んでしまいます。

そしてまた1から始め、また年末が来て、の繰り返しで、やらずにずるずると時間が経ってしまうことが多いので、まず「やる」ということを決めてしまい、やらなければどうにもならないようにして皆で共有することです。

さらに、職員の皆さんには、「あと5年はこのまま何とかなるだろう。うまくいけば10年はそんなに困らず仕事はできるかもしれない。しかし、今までと同じことを続けて、その先の展望のない所で働きたいですか? であれば、今は大変だけれども、MAS監査など他の事務所と差別化できるものを作っていこう」ということをお話ししました。

やる時に悔いは残したくないので、迷った時にはやる。多少の失敗は自分の経験値になると思っています。あとはやりながら考えていくしかありません。