手抜きをせず、 常に全力投球

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曙綜合法律事務所  弁護士
田中 東陽 先生
東京都中央区銀座1-14-4 プレリー銀座ビル10 階

医療側代理人として多数の医療事件を取り扱うとともに、患者側からも依頼を受ける田中先生。医療事件特有の考え方や仕事のポイントをお聴きしました。

田中先生は医療事件をよく取り扱っているとのことですが。

田中先生

はい。全事件の半分くらいを医療事件が占め、残りの3割が一般民事事件と刑事事件。あとは、東京簡易裁判所の民事調停官の仕事や東京電力を相手にした原発事故の損害賠償関係の事件をしています。私が所属する曙綜合法律事務所は、現在弁護士が7名所属し、一般民事事件を主に取り扱っています。代表弁護士は2名いますが、千葉昭雄先生は不動産関係、大森勇一先生は医療事件が専門であり、私は大森先生とよく医療事件を共にします。

医療事件を扱う上で、こだわりはございますか。

田中先生

医師が医療技術を使って患者さんを治すとしたら、弁護士は、様々な法的なトラブルを抱えている方の悩みを、法律の技術やコミュニケーションを通じて解決することができます。私のこだわりは「手抜きをせず、常に全力投球」です。例えば、初回相談に関して言えば、基本的に相談者の話をさえぎらないようにしています。30分や1時間くらいコミュニケーションを取り、信頼してもらってはじめて本音を話し始めると思っているので、最初の段階ではとにかく話を聴いて、本音を聞き出すことを心がけています。初回の相談時間は、2時間以上かかることも多いです。また、医療事件の場合、実際に患者さんやご家族が亡くなっていたり、重たい後遺症になっている状況が多いので、他の事件と比べても、依頼者は特に被害者意識が強いと思います。そこで、言葉づかいには非常に気を遣いますし、依頼者に準備してもらいたいものがある場合、「これを準備してください」と電話でパッパッと事務的に済ませてしまうのではなく、ペーパーを作りじっくり報告をするようにしています。

さて、ご講演いただいた「診療記録の調査、訴状作成はこうする! 医療過誤事件の実務手順とノウハウ」の聴きどころを教えてください。

田中先生

事件の流れに沿って、体系的かつ網羅的にレジュメを作成し、依頼者との接し方、相談から調査、裁判になるまでの心構えというところを中心に詳しくお話をさせていただいたので、医療事件をこれから担当したいと思う先生方にとっては、医療事件のイメージをつかんでもらえるのではないでしょうか。

今後の目標を教えてください。

田中先生

差別化、専門分化しなければ生きていけない。というのが弁護士業界の実情としてあって、「専門はなんですか」と開口一番に聴かれることが最近増えてきました。私は、ある程度医療事件をやってきた自負がありますので、医療事件が専門ですと言いますが、それ以外の専門分野も開拓できればというところが目標です。

最後に、これから医療事件を扱っていこうと考えている先生方へのアドバイスはございますか。

田中先生

お読みいただいている方は地方でご活躍されている先生方が多いと思いますが、先生お一人だけではなくて、お二人以上でご対応いただき、情報の集まる都市部にいらっしゃる医療事件の経験豊富な先生にアドバイスを受けたり、一緒に事件を担当するという形で進めていくのが最初の段階では大事なことだなと思います。患者側の弁護を担当する場合だと、医療問題弁護団などの団体に加入をして、勉強会に参加したり、その先生のアドバイスを受けるということも考えられます。やはり専門訴訟なので、ネットワークやマンパワーが物を言います。わざわざ医学雑誌を定期購読されるというのもお金がかかります。あとは本論でもお話しましたが、医療側の学会のホームページなどを時間があるときに見るのもよいと思います。