労働問題は結局、 人間対人間の話なのです。

狩野・岡・向井法律事務所  弁護士
向井 蘭 先生
東京都千代田区九段北4-1-3 飛栄九段北ビル6階

会社側の労働事件を専門的に取り扱う向井先生に、ご出演商品の聴きどころや地方で活躍されている先生方に向けたアドバイスについて、お話いただきました。

ご事務所の特徴や先生の業務内容を教えてください。

向井先生

会社側の労働事件が約9割を占めている「労務専門」の法律事務所です。所属弁護士は、26期の狩野弁護士以外、50期代2名、60期代3名、また2017年に69期が2名入る予定と、若手が比較的多いですね。

向井先生は現在、中国で労務コンサルを行っていると聞きましたが、状況はいかがでしょうか。

向井先生

上海に労務コンサル会社(「上海マイツ蘭璽人材諮詢有限公司」)を設立し、①人事制度策定サービス、②労務・法務顧問サービス、③ストライキ等の現場労務・法務トラブル対応を 行っています。順風満帆とは言い難いですが、何とか上海でも収益が上がるように努力していきたいと思います。また、今後の目標としては、体力があるうちにできればもう一か国、ベトナムかインドネシアに労務コンサル会社を設立し、「東アジアの労働問題について、この事務所はできる」と言っていただけるようになっていたいです。あとは、中華系(中国・台湾)企業の日本法人が、お客さんになってもらえるように営業をしていきたいとも考えています。外資系の中でも中華系企業は独特でして、まだ会社側の法律事務所が付いていることが少ないのです。これから日本法人を設立する中華系企業はますます増えるでしょうから、そうした企業の労働紛争のお手伝いをしたいです。

ご出演商品(「経験して見えてきた! 合同労組の弱点と行動パターン」、「これまで語られなかった解雇の「解決金」相場と金額を抑えるための方策」)の聴きどころを教えてください。

向井先生

労働問題は結局、人間対人間の話なので、相手の心理を考えることが事件を解決する上で大切です。先生方からすると当たり前だと思うかもしれませんが、いざ事件処理をしていくとお客さんの要望や圧力が強いので、このことをつい忘れがちなのです。相手が考えていることは何かを常に考えていくと、事件は落ち着くところに落ち着きます。労働組合も労働組合なりの事情があって訴えている。相手のことを考えて対策を打たないと、労働紛争はひどい方向性に進んでしまいます。解雇の解決金についてもガイドラインがあるわけではなく、相手の気持ちや考え方によってその金額は変わってきます。講演ではその辺りについて触れているので、ぜひ聴いてください。

最後に、地方で活躍されている先生方に向けてメッセージはございますか。

向井先生

「何でもやります。しかし、特に得意分野はないです」という事務所は、よほどお客さんを呼び込む営業能力が高くないと、今後は地方でもちょっと難しくなってくるのではないかと思います。そこで、会社側の労働問題を得意分野とすることを一つ提案したいです。誤解されている方が多いのですが、依頼企業にはブラック企業はおらず、ほとんどの依頼企業は優良企業です。労働問題を労働者側・会社側どっちもやるというのはオススメしません。労働者側、会社側どちら側かをきちんと宣言した方がよいです。弁護士からするとなんてことないのですが、お客さんからは不信感を持たれる可能性があります。労働者の情報を企業に流しているのではと勘違いする方もいるのではないでしょうか。この分野は早い者勝ちです。地方では会社側で労働問題を扱っている先生はあまりいませんので。最初はあまり上手くできなくても慣れればできます。社労士も常に弁護士を探していますので、勉強会などを開き仕事を紹介してもらうルートを作ればよいのではと思います。何か困ったことがあれば、私でよければ情報提供します。