AI時代の到来は弁護士業界にとってチャンス!

弁護士法人法律事務所オーセンス  代表弁護士
元榮 太一郎 先生
六本木オフィス 東京都港区六本木4-1-4 黒崎ビル7階

弁護士法人法律事務所オーセンス代表弁護士、弁護士ドットコム株式会社代表取締役兼CEOであり、また今年7月の参議院議員選挙で当選された元榮太一郎氏に「弁護士ドットコムの活用法」と「AIと弁護士業務」についてお聞きしました。

登録弁護士数が1万1千人を突破されたそうですが、『元気だね通信』読者の方々に「弁護士ドットコム」をどのように活用して欲しいとお考えですか。

元榮先生

法律問題で困っている全国の方々とつながっていただくため、弁護士プロフィールを掲載いただき、無料法律相談にご協力いただけるとありがたいです。最近は、弁護士や事務員の求人情報をご提供する「弁護士ドットコムキャリア」、先生方の営業時間外にも用件をお聞きする電話代行、というサービスもご用意し、先生方のお仕事が専門性 の高い部分に集中できるような環境づくりをお手伝いしております。こうしたサービスをご利用いただけると嬉しいです。

「弁護士ドットコム」の今後の展望を教えてください。

元榮先生

「弁護士ドットコム」は、困っている方と弁護士をつなぐサイトとして、まだまだピカピカなものになり切れていないので、凡事徹底をはかり、サービスの利便性を磨き上げていきます。また、相談者は事務所のHPを見て弁護士の人となりを確認する方が圧倒的に多いですから、HP制作の分野にも何かしら関与できればと思っています。

「AI(人工知能)が弁護士の仕事を奪う」と言われています。元榮先生のご意見を伺わせてください。

元榮先生

AIが弁護士の仕事を奪うとは、私は直ちには思いません。AIは、時給の高い弁護士がいなくても、一定のソリューションを提供することができます。例えば、弁護士法の遵守はもちろん必要ですが、その範囲で簡単な聞き取り業務はAIが行い、実際の示談交渉や提訴・調停申立ては弁護士が行うといった分業ができれば、リーズナブルな料金でも一定の利益を出すことができるようになります。そうなると、「弁護士費用が高い」と言われ、本来は弁護士がサポートするべき人の2割しか実際には依頼していないという「2割司法」の状態を、AIが4、6、8割に引き上げることができるのではないか、そんな思いでいます。AIと人間が少ないパイを奪い合う、と考えるのではなく、弁護士に依頼するべきなのに依頼できていない人を取り込めるイノベーションに代えられないかという発想を持って、この次なる現実をとらえると見方が変わってきます。言い換えると、私が12年前に見た世界を、今もう一度見ているのだと思います。その当時、これからドンドン弁護士の数は増え、競争が進む。一部の先生はこう思いました。ああ、お先真っ暗だと。一方で、私はこう見ました。一見さんお断りの時代が終わり、まだ見ぬ、困っている方と弁護士が積極的につながった新しい世界になるのだと。ならば、困っている方と弁護士をつなぐプラットフォームを作ったら必ず世の中の役に立つはずだ。こうして、「弁護士ドットコム」は生まれたのです。一つの事実や予想を見た時の受け止め方、心構え一つで、人生は大きく変わるわけです。今回のAIも、弁護士業界のまたとない需要拡大のチャンスととらえていきたいです。

AI時代の到来を迎える中、これから生き残る弁護士に必要なものとは何なのでしょうか。

元榮先生

前向きで素直で粘り強ければ、弁護士業界のみならず、どんな世界でも成長・活躍できます。AIが到来したときにピンチをチャンスととらえて前向きで居続けられるかどうかが、問われているのではないでしょうか。私は、司法試験も起業も、すべて前向き、素直、粘り強さだけでやり切りました。前向きに「絶対越えられない壁はない、越えられない壁はない」と言い続けると、越えられる手段、戦略が自然と思い付くのです。「こんなそそり立つ壁は越えられない」と思ったら、越えられないことを自己肯定するロジックしか生まれません。正当化する理由を考えるためだけに自分の優秀な頭がフル回転してしまうのです。後ろ向きになってしまうことが成長阻害要因なのです。また、素直に人に謝れるか、感謝できるか、過ちを認められるか、色々な立場の人に話を聞けているか、その辺りも非常に大切ですね。