医師の“信頼”を勝ち取り 医業専門の地位を確立

安部経営・会計事務所  所長 税理士
安部 勝一 先生
東京都豊島区北大塚3-31-14

医療専門の会計事務所として30年。レガシィでも数多くの講演をいただいている安部勝一氏。研究熱心で知られているため、さぞ事務所の成長戦略も熟考の上進めていらしたのではないかと考えていましたが、安部先生は「事務所の発展は運しかない」とおっしゃっています。

そもそも、安部先生が医業を専門としたきっかけは何だったのでしょうか?

安部先生

 まだ私が独立開業をする前ですが、措置法26条(租税特別措置法第26条「社会保険診療報酬の所得計算の特例」)が改正されました。それまで、72%の概算経費で良かった医師の状況は一変しました。昭和54(1979)年のことです。改正後は社会保険診療報酬の金額により経費の比率が変わるため、税額計算の検討の必要が出てきました。こうなると、医療業界の知識があり、内容を深く理解をしている税理士が必要とされるようになったのです。運が良かったですね。  私が在籍していた会計事務所でもその研究が始まり、主に私が中心となって進めていくこととなりました。

講演もずいぶん行ったそうですね。

安部先生

 全国各地の医師会などで講演を行いました。当時は手探りの状態で、誰も実務対応が分からない。そんな中で自分たちでどう実務を進めるべきか、試行錯誤しながら方法を確立し、それを皆さんにお話ししました。

そして独立されるわけですが、独立当初の様子などはどのようなものだったのでしょうか?

安部先生

 最初は板橋区・高島平のマンションで開業しました。独立する際、所属していた会計事務所の所長先生から十数件の顧問先を譲っていただき、今でもとても感謝しています。その後、順調にお客さまも増えていき、現在の事務所がある豊島区・大塚へと移ってきました。大塚でももう25年くらい経ちましたでしょうか。医師のお客さまというのは紹介が多い業種です。A医師が私共の顧問業務に満足してくれていれば、B医師、C医師に私共を紹介してくれます。そしてB医師からD医師やE医師、といったふうに紹介がつながっていきお客さまが増えていくという形です。医師は多少お金がかかっても良い税理士に頼みたい、という意識が他の職業の方よりも強い感触があります。

医業の中でも、現在注力している分野は何でしょうか?か

安部先生

 事業承継でしょうか。医療法人であれば、今話題となっている出資持分の問題などの課題をどう解決するかが腕の見せ所です。そして、さらに大変なのが、実は法人化していない医師や医院です。医院を引き継ぐのは個人情報保護法の問題もあり非常に手間がかかります。その部分をどうケアしてあげることができるか。出資持分と同じく、医業専門ならではのノウハウが生きる部分です。

安部先生は講師であると同時にレガシィの商品もご利用いただいています。どのように利用いただいていますでしょうか?

安部先生

 興味のある分野を選んで購入していますが、仕入れた情報を事務所の中で共有するようにしています。それによって、医業専門の事務所としてレベルを上げることができているように感じています。

最後に、今後の目指すところなどについて教えてください。

安部先生

 当事務所のポリシーは「信頼」です。  我々は医師の方から「医院の経営」「患者の問題」「職員の問題」、さらには「家族の問題」などのお話を聞くことがあります。院長先生は普段、相談相手がいません。さまざまな問題を1人で抱え込んでしまうと、院長先生自身が心を病んでしまいます。そうならないように、普段から相談相手となっていくことも大切だと考え業務を行ってきましたし、今後も継続し続けようと考えています。