NPOの会計税務の情報発信基地になりたい
青年海外協力隊でのご経験から税理士を目指し、NPO特化型の会計事務所としてご活躍されています。NPOの会計業界では大変著名な脇坂先生に、これまでのお話とこれからの展望をお聞きしました。
税理士になったきっかけを教えてください。
税理士になったきっかけは、25歳の時に参加した青年海外協力隊です。アフリカのコートジボワールに、交通事故の統計の仕組みを作るために2年間滞在 しました。
この頃の日本はバブルの絶頂期で、何となく日本人ならアフリカに行けば役に立てるだろうと思って行きましたが、ほとんど役に立ちませんでした。
この滞在期間中に、誰かの役に立つには、役に立つための力が自分になければいけないと感じました。また、そのためにも、手に職をつけたいと思い、何ができるのか考えました。
私は、数字が好きであることと、手に職がつくことから税理士を目指そうと決めました。
NPOに特化したのも、そのようなご経験からでしょうか?
税理士の資格をとってから暫らくして、青年海外協力隊として過ごしたあの2年間は何だったんだろうという思いがありました。当時は、在日外国人向けに日本語を教えるNPOに参加していましたが、私が使っていたフランス語は日本ではニーズがあまりなく、ここでもあまり役には立てませんでした。どうにか役に立てることはないかと考え、外国人向けの確定申告のセミナーを開催しました。二人しか参加者がいませんでしたが、そのうちの一人がとても喜んでくださいました。
この時に、NPOの活動をする一人としてではなく、自分の持っている「会計税務」の知識でNPOの支援をしようと思いました。この時に、やっと青年海外協力隊の経験と税理士がつながったと感じました。
NPOに特化されてみていかがですか?
NPO法人は歴史が浅く、会計や税務などのルールが整っておらず、とても困りました。
そんなときに、「NPO会計税務専門家ネットワーク」という団体に出会って入会しました。この団体は、「会計と税務でNPOを支援する」ことを目的としていまして、メーリングリストなどで相談ができたり、最新の情報を入手できます。またNPO法人会計基準はこの団体が中心となって作っています。
あと、私のようにニッチな分野を専門としていると、レガシィの充実した商品ラインナップはとても嬉しいです。非営利法人関連の商品が税務だけでなく、法務関係もそろっており、とても助かっています。
最近、先生が取り組んでいることを教えてください。
最近は「遺贈寄付」というものに力を入れています。
これは、遺言などでお亡くなりになった方の財産の一部をNPO法人や公益法人、社会福祉法人、学校などの非営利団体に寄付するというもので、4、5年前から取り組んでいます。
あるアンケートでは、20%ぐらいの方がこの「遺贈寄付」をしたいと答えていますが、残念なことに、やり方が分からず、実行に移す方は0.1%程です。
そこで、お客さまのお悩みを解消できるように、「全国レガシーギフト協会」という団体を弁護士や司法書士、金融機関、NPOの方と設立しました。最近はお子さまがいらっしゃらない方からの遺贈寄付のご相談が増えています。
遺贈寄付の税務を理解し、お客さまから遺贈寄付の相談を受けた時に適切なアドバイスができる専門家を増やしていきたいと思っています。
今後の方針をお聞かせください
事務所の方針の一つに、「NPOの会計税務の情報発信基地になる」とかかげています。私が経験した情報を今後も発信し、また情報を発信すると不思議と情報も入ってきますので、それらをお客さまにお伝えし、事務所全体でお客さまに役立つ力をつけていきたいと思っています。
非営利の分野はまだまだ未開拓で、はっきりしない問題が結構あります。しかし、今後ますます必要とされる分野ですから、未開拓な分野にチャレンジしていきたいです。
この記事をお読みの先生で非営利に関わる顧問先がいらっしゃいましたら、ぜひ「NPO会計税務専門家ネットワーク」にお問合せください。