「気が通う」関係を作ることがマネジメントの秘訣

ゆびすいグループ 会長 税理士法人ゆびすい 社員  税理士・CFP
澤田 直樹 先生
大阪府堺市堺区向陵西町4-5-5 ゆびすいビル(他、国内に多数拠点を持ち、合計11拠点ある)

今回、お話をお伺いしたのは、関西を中心にご活躍されている澤田先生です。 レガシィの講師としてもおなじみですが、関西でも有数の会計事務所である税理士法人ゆびすいを中心に、グループ職員数310名超、11もの拠点を構えるというゆびすいグループの代表職を、最近まで務められていました。 そんな澤田先生に、あらゆる規模の企業にも通じる、マネジメントのコツをお聞きしました。

税理士になられたきっかけはどのようなものでしたか。

澤田先生

学生時代に、資格にあこがれ「専門性の高い高収入な仕事に就きたい」と思っていたのがきっかけでした。大学で、会計事務所の求人案内を探していたところ、今よりも40年以上も前の話なので、当時は士業事務所の求人というのはとても少なかったのですが、その中で現在の事務所の求人案内を見つけ、応募したのです。縁があって採用してもらうことができ、税理士の資格を取ることを目指しながら所員として働き始めたのが、私の税理士人生のスタートでした。

そこからの税理士人生は、どのような歩みだったのでしょうか。

澤田先生

最初は、税務部門に2年所属し、その後、当時は経営指導と言っていましたが、今でいうコンサルティングを行う部門に2年、そしてパソコンソフトの開発部門に1年半所属し、そこから東京に転勤になりました。東京に居たのは8年半でしたが、当時は秋葉原に事務所を構えていらっしゃった天野先生のこと知り、勉強会(プロテック 研究会)に参加させてもらいました。また、天野先生が舩井幸雄先生のお話をよくされていたので、舩井先生の本を読むようになりました。舩井先生の本により経営のことだけではなく、「人間とは何か」「この世の中の本質とは」いった人生の本質的な部分を深く考えさせられました。大阪に戻ってからは月一回のペースで舩井塾に通っていた時期もあります。同様に心身統一合氣道会の藤平光一宗主のことも教えていただき、その後合気道を始めました。合気道を通じて人とのコミュニケーションに役立つ「人を導く」「心をしずめる」という考え方を学ぶこともできました。これらを学んだことがその後の税理士人生の大きな指針になったと思っています。

東京から戻られてからはどのような仕事を担当されたのですか。

澤田先生

東京から戻ってからは、オーナー系グループ会社の総合的な税務の仕事をメインにしておりました。その後、グループ役員、常務会、グループ代表と、徐々に現場の仕事よりはマネジメント業務が中心になっていきました。「専門性の高いクライアントに高い付加価値を提供する仕事をしたい」と目指していたところからは少し違った方向性になっていきましたが、充実した時間を過ごせていたと思っています。

マネジメント業務で、大切にされていたことはありますか。

澤田先生

マネジメントをしている時に一番意識していたのは、とにかく「人間関係を築くこと」です。何かあっても、電話1本で相談してもらえる、あるいは解決できるという関係を築こうと尽力していました。実際に、そのような関係ができていると実感できていたので、それをベースに仕事をできることは非常に私自身のモチベーションとなっていました。

なかなか「電話1本」という関係を築くのも簡単ではないと思うのですが、その秘訣は何でしょうか。

澤田先生

私が行っていたのは、とにかくコミュニケーションの回数を増やし、なるべく本音に近いところの話を聞けるような機会を作っていくことでした。お酒が飲める人とは飲みに行くことでそのような機会を持っていましたし、お酒が飲めない人とも、なるべく個別で話ができる機会を作るようにしていました。重要なのは、1対1で話せる場を作ることです。そのように関係を作っていくことで、「気が通う」関係が築けるようになるのだと思います。加えてそれぞれの良いところを生かすことができるチャンスを与えることができるのだと思います。

話は変わりますが、先生の事務所の強みはどのようなところにあるでしょうか。

澤田先生

一言で言えば、「柔軟性」でしょうか。例えば「やりたいこと企画」という制度があるのですが、それは、全メンバーを対象に「事務所がこういうことをしたらいい」ではなく「自分自身がこういうことをやってみたい」ことを提案してもらう制度があり、そこから大きな事業が生まれることもあります。この制度で、介護事業の専門部隊ができたり、新拠点ができたり、他社と提携した新しい社会福祉法人の会計システムを開発したりすることができました。発案者のポジションに関わりなくいい案が出たらそれを採用し、変革できる点が強みだと思います。

最後に、レガシィ商品のご利用のされ方をお聞かせください。

澤田先生

昔から、移動時間の情報収集によく活用していました。現在は、事務所のメンバーも聴けるようにして、各々の勉強にも役立ててもらっています。