東京地裁 貸付金のゼロ評価を認めず

東京地裁 貸付金のゼロ評価を認めず

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東京地裁 貸付金のゼロ評価を認めず

父AはX法人の代表取締役を平成12年まで務めていたが平成20年2月に他界。Aの妻であるBと子Cが相続人となり、Aの財産を相続する。その際に、AがXに貸し付けていた約5,700万円の貸付債権をBが取得した。

その後、平成23年6月にBが亡くなり、相続人はCのみであった。CはBの相続税申告にあたり、Bが相続していたかAがXに貸し付けていた貸付債権を存在しないものとして申告書を提出。しかし、課税庁はX社に問い合わせをしてBの相続開始時にこの貸付金約5,700万円が存在することを確認し、更正処分等を行った。

裁判では、債権の評価に関し下記の2点が争点となった。
1.財産評価基本通達205(貸付金債権等の元本価額の範囲)「…その他その回収が不可能又は著しく困難であると見込まれるときにおいては、それらの金額は元本の価額に算入しない。」に該当するか
2 同通達によらないことが相当と認められる特別の事情があるか

Cは、X社は平成19年以降、債務超過の状態が続いていた等の理由から本債権を回収する可能性はない旨を主張した。しかし、地裁は以下の理由によりX社が経済的に破たんしていることが明白で 本債権の回収の可能性がない、または困難であることは認められないと判断し、Cの主張を退けた。

・Bの相続開始時にX社は会社更生手続等の法的な処理が行われていない
・確かに債務超過の状態が続いていたかもしれないが、営業を継続していた
・また、金融機関への返済が遅滞または停止していた事実もない
(東京地裁 平成30年3月27日)

相続財産を評価するにあたり貸付債権を単に債務超過が続いているからとして ゼロ評価して申告することは極めて危険であることがわかります。
しかし、申告するにあたり本当にその債権が「貸付金」であるか否かを 検証することで、貸付額を減らすことができます。
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