弁護士懲戒請求訴訟で原告弁護士が逆転勝訴

弁護士懲戒請求訴訟で原告弁護士が逆転勝訴

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名古屋高裁で請求者2名に賠償命令判決

報道によれば、名古屋高裁は12月11日、在日コリアンの弁護士らが2017年(平成29年)に大量の懲戒請求を受けた問題をめぐって、東京弁護士会所属の弁護士が、理由のない懲戒請求で名誉を傷つけられたなどとして、愛知県の男女2人に計110万円を求めていた訴訟の控訴審判決で、請求を棄却した1審の名古屋地裁判決を変更して、2人に計88万円の賠償を命じたとのことです。

今年6月の1審判決は懲戒請求を不当と判断したものの、原告の精神的苦痛は認めず請求を棄却していました。
控訴審の裁判長は判決理由の中で「懲戒請求は人種差別思想に基づくものと認められ、請求自体、弁護士の名誉や信用を毀損するものと言える」と指摘しました。

この裁判は2016年(平成28年)に日弁連を始め各地の弁護士会が、朝鮮学校への補助金停止に反対する声明を出したことに対して、これに反発するブログの呼び掛けで懲戒請求が相次いだことが発端となっていました。

大量の懲戒請求を受けた弁護士の提訴はこれ以外にもありますが、上記の地裁判決は原告の請求が棄却された数少ない判決でした。

ちなみに、上記の報道とは直接関係ありませんが、12月12日開催の神奈川県川崎市議会で、公共の場でヘイトスピーチを繰り返した者に対して50万円以下の罰金を科す、差別禁止条例案が可決、成立しました。この条例は、全国初の刑事罰規定が盛り込まれた点が大きな特徴となっています。

一方で、インターネット上での誹謗中傷に対しては、罰則規定がありません。ヘイトスピーチ等はリアルの場よりも、ネット上の方が過激と言われることがありますから、今後は、こうしたネット中傷への対応も検討が必要になりそうです。