改正民法(債権法)で意思能力を明文化

改正民法(債権法)で意思能力を明文化

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一段と加速する高齢化社会に対応

 平成29年5月26日に民法(債権法)改正法案が可決・成立しました(同年6月2日公布)。
 今回の債権法改正は、「社会・経済の変化への対応」、「国民一般に分かりやすい民法」という、
2つの観点から検討がなされ、法改正されています。
 ところで、本改正については、これまでどちらかと言えば、前者の改正項目が注目されがちでしたが、
後者の「国民一般に分かりやすい民法」とういう観点からも、いくつかの重要な改正がなされています。
 そのうちの一つが、意思能力の明文化です。
 従前、例えば認知症などの影響で、意思能力を有しない者がした法律行為は無効となることは、
判例・学説上では異論なく認められていましたが、民法には明文の規定がありませんでした。
 そこで、この点について手当をするため、3条の2が新設され、
「法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする。」
と明文化されました。
 今後、高齢化が一段と加速する中で、高齢者の契約をめぐるトラブルや、相続・遺言に関する紛争は、
ますます増加することが予想されます。
 法律実務家も、意思能力の有無の判断を求められる場面が、今以上に増えることになりそうです。

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