特別養子制度の見直しに関する要綱案がまとまる

特別養子制度の見直しに関する要綱案がまとまる

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対象年齢の引上げで制度の利用促進はなるか?

1月29日、法制審議会の部会は、特別養子縁組制度に関する民法改正の要綱案
をまとめました。

報道によると、2月の法制審の総会で正式決定後、法務大臣に答申され、
政府は今国会への改正案の提出を目指す、とのことです。

要綱案の主な内容は、以下の2点です。

①対象年齢を「原則6歳未満」から「原則15歳未満」に引き上げる
②家庭裁判所の審判手続を2段階に分ける

①については、15歳以上は本人の意思で普通養子縁組が可能になることなどから
15歳未満への引上げでまとまりました。
②については、第1段階で、児童相談所長による申立てを可能にするとともに、
実親が縁組成立に同意してから2週間経過後は撤回ができなくなることとし、
第2段階では、養親の適格性だけを対象にして実親に関与させないという内容
になっています。

最高裁の司法統計(http://www.moj.go.jp/content/001270408.pdf)を見ると、
平成25年以降の特別養子縁組の成立件数は年500件前後で推移しています。
その一方で、虐待を受けるなどして児童養護施設や乳児院に入所している子が
約3万人いる現状を踏まえて、今回、条件緩和を求める声に応える形で要綱案が
まとめられたとも言えそうです。

他方、対象年齢の引上げに伴う親子関係構築の難しさや、民間あっせん団体の質の
確保などには課題も残るという意見もあることから、こうした懸念の解消に向けた
対応も同時に必要となりそうです。