「成年後見人は親族が望ましい」最高裁が見解

「成年後見人は親族が望ましい」最高裁が見解

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専門職に与える影響と今後の対応策

成年後見制度は2000年に創設され、今年で20年目の節目を迎えました。
制度導入以来、成年後見の利用者数は年々増加して、社会的な認知も進んできています。

その一方、認知症高齢者が500万人超といわれる状況で、近年の利用数は約21万人にとどまっているのが実情です。

こうした中、報道によれば、最高裁は3月19日、成年後見制度の後見人には「身近な親族を選任することが望ましい」との考え方を示したとのことです。

最高裁は基本的な考え方として、後見人にふさわしい親族など身近な支援者がいる場合は、本人の利益保護の観点から、親族らを後見人に選任することが望ましいとの見解を示すとともに、後見人の交代についても、不祥事などの極めて限定的な運用を改め、状況の変化に応じて柔軟に交代・追加選任を行うとしています。

これまで、各家庭裁判所は、親族らによる、被後見人の財産の使い込みなどの不正を防ぐ観点から、専門職(弁護士や司法書士など)の選任を増やしてきた経緯がありました。
しかし、今後はこの運用が見直されることが予想され、そうなれば、専門職の選任数も減少していく可能性が高いと思われます。

他方、これから更に進む超高齢社会に向けた対応は、成年後見だけではありません。例えば、民事信託(家族信託)がその一つです。

民事信託は、認知症対策、事業承継対策、共有対策など、利用者の状況や目的に合わせた多様なスキームを組める点が、大きな特徴といわれています。

専門職が民事信託を理解しておくことは、今後の実務において有効といえそうです。

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