法務省有識者研究会の「嫡出推定」見直し案まとまる
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「無戸籍者」問題の解消を目指す
嫡出規定の見直しは、現在、法制審議会民法(親子法制)部会に諮問されており、
7月29日に初会合が開かれる予定になっています。
これを前に、民法の「嫡出推定」の見直しなどを議論している法務省の有識者研究会
(座長=大村敦志・学習院大学教授)が報告書が取りまとめ、公表しています。
嫡出推定制度を中心とした親子法制の在り方に関する研究会
参照「嫡出推定制度を中心とした親子法制の在り方に関する研究会報告書」
おもな内容は
①離婚後300日以内に出産した子を元夫の子とみなす規定の見直し
②親子関係否認の訴えを起こせる期間の延長
です。
①については、離婚後300日以内に生まれた子について
出生時に母親が元夫以外の男性と再婚していた場合などは、元夫の子とみなさない。
また、婚姻から200日経過後に産んだ子を夫の子とする規定については
子の法的地位を安定させるため、200日以内に誕生した場合も夫の子と推定すべき
との見直し案が示さてれています。
現行法は、女性が妊娠中の場合、元夫と現夫の推定期間が重ならないよう
離婚後100日間の再婚禁止期間を設けていますが
見直し案では重複がなくなるため、再婚禁止期間も不要になるとしています。
②については、現行法では、夫が嫡出推定を否認する訴えを提起できる期間が
「子の出生を知ってから1年以内」に限られているものを
十分な検討ができるように少なくとも2年以上とするように求めています。
今後は、この有識者研究会の報告書を参考にしながら
「無戸籍者」問題の解消に向けて議論が進められることになります。
編集部では、今後の動向に注目して参ります。