臨時国会で会社法改正法案が審議入り

臨時国会で会社法改正法案が審議入り

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社外取締役を如何に機能させられるかがカギに

10月18日、会社法の一部を改正する法律案が臨時国会に提出されました。

法務省ホームページには、法案の条文が公表されています。
法務省HP

改正法案では、新たな制度が創設されるほか、これまでの規定の見直しも盛り込まれています。
主な改正項目は、以下のとおりです。

・株主総会資料の電子提供制度
・役員に対する補償契約
・役員等のために締結される保険契約
・社外取締役の設置の義務付け
・株主提案権の濫用的な行使を制限するための規定の整備
・取締役の報酬等に関する規定の整備

このうちレガシィ編集部が注目しているのは、社外取締役の設置義務付け、役員に対する補償契約および役員等のために締結される保険契約です。

既に東証に上場する企業の98.4%が社外取締役を置いていますが、上場企業以外の資本金5億円以上の大企業にも社外取締役の設置が義務付けられることは、企業が社内の利害関係にとらわれず、第三者の視点で経営をチェックする体制の整備を進める上で強い後押しになりそうです。
また、社外取締役に就任する人材の確保、あるいは就任のインセンティブの観点から、役員に対する補償契約と、役員等のために締結される保険契約(役員等賠償責任保険)の規定が整備される点も、社外取締役の設置義務化を進める上で効果的と思います。

昨今、企業不祥事の発覚により株主が不測の損害を被るケースが相次いでいる中で、社外取締役の設置が義務付けられ、これが正しく機能することによって、企業統治の質が高められることが期待されます。

なお、会社法務に詳しい柴田・鈴木・中田法律事務所の柴田堅太郎弁護士に改正法案についてお聞きしたところ、以下のコメントをいただきました。
「今回の会社法改正では多くの改正項目があるが、実務を大きく変えるものと予想されるのは、株主総会資料の電子提供制度、役員の損失を補償する会社補償、そして株式対価による買収を制度化した株式交付の制度だろう。ただ、株式交付では株式対価のニーズが高い外国会社の買収を対象外としてしまったことが残念である。」