「税理士」と「保護司」そこには人と語らう極意があった

2013 5
税理士法人TMS  代表社員 税理士
後藤次仁 先生
東京都豊島区南池袋2-17-11 後藤ビル3F

地元池袋で開業され業務を行う傍ら、「保護司」として、犯罪や非行に陥った人の更正のお手伝いもされてこられ、平成18年には、その長年の功績により「瑞宝双光章」を受けられました。「税理士」と「保護司」。一見全く共通点がないような気がしますが、お話をお聞きすると、税理士にとって参考になることがあるようです。

約50年間、個人事務所としてやってこられ、平成24年7月に税理士法人になられましたが、どのような思いからだったのかをお聞かせください。

後藤先生

一つは、我々を取り巻く環境の変化と私の年齢です。今までは、法人税と所得税が業務の中心で、顧問先も製造業や商店、卸売業が中心でしたが、だんだんと少なくなってきています。

代わって、医療法人など新たに特殊な知識が必要となるようなお客さまが増えてきました。

新しい知識を取得するためには勉強していかなければなりませんが、若い頃と違い限界もあります。従来のように、個人事務所として一人ですべてを対応することへの限界を感じました。もちろん、事務所内で研修など、知識取得には努めていますので、レガシィのフリーパスポート会員制度を利用して、研修会等を行っています。

もう一つは、今後のことです。有資格者は私だけですから、仮に、今私に何かがあった時、一緒に頑張ってくれている職員はどうなるのかを考えます。これらのことを考えた時、一緒にやっていただける先生、税理士法人化を検討し始めました。

税理士法人化するにあたってはさまざまなご苦労もあったかと思いますが、心掛けてこられたことはなんでしょうか?

後藤先生

感謝の念ではないでしょうか。一緒に働いてくれている職員、税理士法人として一緒にやっていただける先生、周りへの感謝の気持ちを常に持ち続けることです。個人事務所から法人組織になりますので、これまでとは違ったさまざまな変化があります。従来とは異なることを手がけ、変化に対応していかなくてはならない時、まず感謝の気持がないと何事もできません。

そのようなお考えはどこから来ているのでしょうか。

後藤先生

税理士以外にも、さまざまな団体でお仕事をさせていただていますが、どれもみな周りの方から声を掛けていただきました。

中でも、税理士となって地域の仕事にも取り組んでいた時、菩提寺の住職さんから「犯罪を起こした人を更生させる世の中のためになる仕事をしないか」と勧められて引き受けたのが保護司です。平成18年にはその長年の功績を評価いただき、「瑞宝双光章」をいただきました。

保護司は、罪を犯してしまった人と定期的に会い、話を聞きながら更生の手助けをしていきます。これまでに200人以上の人と接してきました。そうした公の仕事に携わっていると、自然と何事にも寛容になれるようです。そのような環境から培われた性格ではないでしょうか。

30代という若さで保護司となり、生きてきた環境や境遇など、立場の違う人たちと向き合っていくことは大変だったのではないでしょうか。

後藤先生

初めの頃は何がなんだか分かりませんでした。大切なのは、相手の考えを聞いてあげることです。自分の知らない世界の人たちと相対するわけです。こちらは実体験としては全く分かっていないのに、「更生しなさい」と言っても説得力がありません。

多くの場合、人は自分の言いたいことだけを先に話しますが、何のために今日ここに来たのか、何のために話に来たのか、を察してあげる。

これは、実は顧問先の社長さまへの対応にも言えることなのです。その商売のことについて私は専門ではありませんので、社長さまに対して「ああしなさい」「こうしなさい」と言えるわけがありません。

しかし、社長さまの考えていることを聞いて差し上げ、所々で質問をしていくことで、社長さまが自分の中で問答して解決していくのではないでしょうか。自分で自分を変えなければ、私にはどうすることもできません。会話の中でその人が心の整理をし、次の行動をしていくしかないからです。

こうしたことに気を付けながら日々の業務を行っています。