お客さまが望んでいるものをしっかり渡せているかが重要

税理士安藤恵美事務所  税理士
安藤恵美 先生
東京都文京区湯島3-18-10 藤和湯島コープ707

今回は、文京区で30年にわたり、税理士として活動していらっしゃる安藤先生にお話を伺いました。「聞く」ということを何より大切にしていらっしゃる安藤先生。毎月のコミュニケーションでしっかりヒアリングを行い、「お客さまが望んでいるものをしっかり渡すこと」ができていれば、最近の価格競争の波はあまり関係ないとおっしゃいます。

安藤先生の今までの歩みと事務所の経緯を教えてください。

安藤先生

28歳の時に合格し、会計事務所に2年間勤めて30歳で登録しました。当時は女性税理士というのは非常に少なくて所属する本郷支部でも全体の5%でした。

実は登録後10年間は主婦生活をしており、登録は維持していたのですが、実務はしておりませんでした。その後ちょうど40歳の頃に、税理士として改めてお仕事を始めることになりました。

日頃の業務で大切にしていることを教えてください。

安藤先生

大切にしていることは「聞く」ということです。

お客さまのなかにも、「以前の会計事務所では先生と顔を合わせたことがない」「会計事務所というのは担当者の人しか来ないものだと思っていた」という方がいらっしゃいます。

私は、お客さま個々のニーズに合わせつつ、可能な限り、毎月お伺いして、お顔を合わせてお話を聞くように心掛けています。「特に話題がないと会いに行きづらい」「参考になる情報等をお持ちして顧問先を喜ばせるのが望ましい」というのはその通りではあるのですが、もっと平易な話でも、言ってしまえば先方の世間話をお聴きするだけであっても「お会いしにいくこと」「お話をお伺いすること」が重要だと考えております。

また、最近は、低価格の顧問料を示して既存の顧問先に他事務所が営業をかけてくるということも少なくありません。

昔のように、お客さまから見て「頼るのは先生しかいない」という状況ではなく、常に選択肢が提示されているという環境は、税理士として気が引き締まる思いです。会計事務所にとって「営業力」の比重が重くなってきているというのは間違いありません。

ただ、「既存のお客さまと契約し続ける」という観点では、「価格」「営業力」より「それ以前のこと」が重要であると考えています。重要なのは、「お客さまが望んでいるものを渡せているか」ということです。これができていれば、実は「支払金額の安い、高い」はあまり問題にならないと思います。

ですので、お客さまのニーズを満たせているかを確認するための毎月のコミュニケーションが重要であると思います。

安藤先生は「民事調停委員」を務めていらっしゃると伺いました。

安藤先生

2000年に多重債務者の救済を目的とした「特定調停法」が成立しました。多重債務者と債権者(サラ金業者)の間に裁判所が立ち、利害調整を手助けするための仕組みです。この時、裁判所から税理士会に要請があり、税理士から調停委員を選出することになりました。私もこの取り組みに立候補して、民事調停委員に選出されました。

任命から現在まで15年間民事調停委員として活動しています。特定調停は現在減少しており、賃金や借金等の「いわゆる民事紛争」の解決・合意を図る仕事をしています。

税理士が司法の世界に関わることはほとんどありませんので、とてもやりがいのある仕事だと感じています。

安藤先生にとって「税理士」という職業とはどのようなものですか。

安藤先生

税理士というのは勉強しなければならないことがとても多い職種です。顧問先さまのために、時には知らないことにも興味を持ち関与しなくてはいけないことが多々あります。そのため税理士というは「自分で考える、自分で行う」という能力が自然に身に付く職業だと思います。「分からないこと」があった時に放置せずに、「分からないけれども、分かるためにはどうすればいいか」ということを税理士は考えなくてはなりません。それはとても大変なことですが、困難を乗り越えるための能力、やり方を身に付けることができたことが私の財産だと思っています。

レガシィのCD・DVDの活用法について教えてください。

安藤先生

FPステーション時代に天野代表の講演を聴かせていただいてから、情報収集およびお話しの仕方を参考にするために利用しております。

今後の事務所の方針等ありましたら教えてください。

安藤先生

お客さまのお役立ちを大切にして、毎月のコミュニケーションを大切にしていきたいと思っています。

また、最近、長年のお客さまで、お仕事の傍ら、教育を受ける機会のない子供たちに、その機会を提供するボランティア活動を行っていたご夫婦が区から要請を受けてNPO法人を設立することになり、私もそのお手伝いをいたしました。

今まで、さまざまなお客さまに携わってまいりましたが「営利を目的としない」というあり方に触れたのは初めてで非常に衝撃を受けました。今後はそういった「非営利の法人」のお手伝いや成年後見制度など、さらに社会に貢献できる仕事もしていければよいと考えております。