若手弁護士の育成や業務効率化に使えます!

GVA TECH株式会社CEO  弁護士
山本 俊 氏
東京都渋谷区千駄ヶ谷5-15-6 GVA フレンズ
「GVA 法人登記|商業・会社変更登記申請オンライン支援サービス」

契約業務を効率化させ、法務業務の生産性を向上させるリーガルテックサービスAI-CON(アイコン)を開発したGVA TECH株式会社CEOの山本俊氏に、法律事務所におけるAI-CON活用法を伺いました。

AI-CONとは、どのようなサービスなのでしょうか?

山本氏

 契約書のドラフトから交渉の段階までの業務を手助けするAI 契約サービスです。契約書のテキストデータをAI-CONにアップロードすると「不利」から「有利」までの5段階で条文のリスク判定をしてくれます。次に、例えば「不利→やや不利・中間・やや有利」に変えるための、おすすめ修正例が3つ出てきます。また、何故この条文に修正したか相手方に伝え、交渉してもらうために、修正意図も表示される仕組みにもなっています。さらに、そのまま契約書を締結してしまった場合の「具体的なリスク」や「起こりうるトラブル」も説明してくれます。

法律事務所の利用も増えてきているそうですが。

山本氏

 スタートアップ企業や中小企業のみならず、若手弁護士の育成や業務効率化に使えると、AI-CONを導入し始めた法律事務所も増えてきました。弁護士向けのAI-CON無料相談会も定期的に実施しています。

法律事務所の方々には、AI-CONを、どのように利用してもらいたいですか?

山本氏

 弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所の小野智博先生には、弁護士が本来注力すべきコミュニケーションと問題発見・解決、に集中できる環境を作る目的で、AI-CONを導入していただきました。実際、1人でもダブルチェックができる、NDAの所要時間が1/3程度になったといった効果が得られたと聞きました。また、契約書作成・チェックの経験が豊富な弁護士の数は、実は少ないと思います。法的論点は本を読めば、ある程度理解できますが、取引の相場観や落とし所などビジネス感覚については経験がないと、なかなか分かりません。しかし、AI-CON のリスク判定機能や条文修正例おすすめ機能を使うと、初めて経験する分野の契約書であっても、ビジネス感覚に合った修正例の選択肢を得ることができます。その上で、相手方とのパワーバランス、絶対譲れない部分などをお客様からヒアリングし、選択肢の中から「まず、やや有利な条文で交渉してみて、それがダメなら中間でいきましょう」と実践的なアドバイスをすることができます。

事務局の方が利用するというのは、難しいのでしょうか?

山本氏

 以前、弁護士vs AI-CON を使った事務局のどちらがより良い契約書に修正できるか、という対決をしてみました。結果は、弁護士が勝ったのですが、契約書をほとんど見たことのない事務局でも、通常ならば2箇所ほどしか修正点に気づかないものが、AI-CONを使うと10数箇所も見つけることができました。契約業務は、債務整理とは違い、事務局の下支えがなかなかできない領域でしたが、今後AI-CONを使えば、事務局が弁護士のサポーターになれる可能性は十分にあります。

スタートアップ企業の起業家でもあり、法律事務所の経営者でもいらっしゃる山本氏。最後に、2つの立場の両立の利点、大変な点を教えてください。

山本氏

 私は今、結構、起業家寄りの立場ではありますが、法律事務所の経営者と両立していると、AIでできる業務、できそうな業務の「当たり」がつきます。法律事務所が今後やるべき分野に思い切って振り切れるようになります。業界の将来を見通す解像度は、他の人と比べて高いと思います。逆に大変な点は、他人に対しては良いアドバイスができる反面、自分のことになると難しい。今まで見えていたはずのものが、だんだん見えなくなる。ここがスタートアップ企業の起業家の難しさです。