人とのつながりを大切にするアクティブ税理士
中里先生の取材は今回で2回目。2015年に一度取材をさせていただきましたが、今回は中里先生が主宰する勉強会についてお話を聞いてきました。前回もそうでしたが、今回もホワイトボードを使いながらたくさんのことを教えてくださいました。
多くの勉強会を運営されていますが、きっかけは何だったのでしょうか。
初めのきっかけは「百の会」です。TKCのモデル区にもなったので、ご存じの先生もいらっしゃるかと思いますが、これは独立したての若い先生達の集まりで、顧問先100件を目指す会です。ここで色々な先生と 出会いまして、そのつながりから「都市農家税務対策研究会」を作ることになりました。
都市農家税務対策研究会はどのような会ですか。
回いわゆる生産緑地問題などを研究している会になります。こちらは5名ほどの先生で集まり研究しています。内容がかなり特殊なので少人数で集まっています。
他にはどのような勉強会があるのでしょうか。
回他には租税総合研究所と相続納税分割対策研究会というものがあります。租税総合研究所は約20年続いています。こちらは13名の先生が所属しています。元国税職員の先生に顧問として入っていただきまして、毎回実務の疑問を持ち寄り、必ずその場で答えを出すことを目標に開催しています。 もう一つの相続納税分割対策研究会の方は15年ほど続いています。こちらは勉強会だけでなく、会員同士の交流も含めて活動しています。この研究会は特に忘年会が有名です。この忘年会は税理士や弁護士といった士業だけでなく、ハウスメーカーや生命保険会社などの大手有名企業の方にも参加していただいております。
なぜさまざまな企業が参加しているのでしょうか。
この忘年会は、参加者がさまざまなネットワークを作ることができるようにとの思いで毎年開催しています。
独立したての頃は特にそうだと思いますが、他の方々とのつながりがなくて困ります。見つかったとしても信用していいのかといった問題もあります。しかし、この会の忘年会の参加者は会の中心メンバー7名が招待した方々なので安心です。 また、参加者には各参加者のプロフィールと招待したメンバーの名前が書かれた名簿が渡されますので、必ず必要な方と知り合うことができます。後日直接連絡取ることも問題ないので、参加すれば確実に自分なり のネットワークを作れます。なぜこのような勉強会を何年も続けているのでしょうか。
「いずれ行く道、いつか来た道」です。私も独立したころ、今もそうですがたくさんの人と出会い、そして多くの方に助けられてここまでこられたと思っています。先輩方が通ってきた“(私が)いずれ行く道”を先輩方に助けていただいたように、後輩がこれから通る“(私が)いつか来た道”を少しでも助けてあげたいと思っています。
恩返しという意味もあるのですね。さて、前回取材させていただいてから約5年経ちましたが、何か変化は ございましたか?
前回の取材の時はまったく考えていませんでしたが、今は自分の事務所の事業承継が気になっています。
具体的にはどのようなことを気にされているのですか。
私の事務所は資格者が私のみです。子供は継ぎませんし、職員のなかに資格者はいないので、そうなるとM&Aをするか、もしくは税理士を新しく招いてこなければなりません。しかし、資金繰り等を考えると正直現実的な方法ではありません。
なるほど、ではどのように進めようとお考えですか。
私のように資格者が1人で、あとは無資格者の職員さんという会計事務所は結構あると思います。そのような会計事務所同士の研究会というか交流会みたいなものがあればいいなと思っています。そこに独立したての 若い先生が来てもいいと思います。新規顧問先を獲得するのは大変ですから、後継者探しに苦労している事務所を買収もしくはゆっくりと引き継いでいければお客さまも安心だと思います。大がかりではなく小さなM&Aというのができればと思っています。