目指すは顧問先とともに 永続する会計事務所

税理士法人千代田経営会計事務所  所長 税理士  
宮本 泰三 先生
東京都港区西新橋3-8-1 第二鈴丸ビル4階(東京事務所)

今回のインタビューで驚いたのが、千代田経営会計事務所の分厚い経営計画書。経営理念から、入社後のキャリア形成のコース設定など、経営に関連する事柄がしっかり明文化されていました。企業の文化・風土がしっかり形成されていて、それを保持していく努力がされている、このあたりに50年以上の歴史を持つ「千代田経営会計」の秘密がありそうです。

先生のこれまでの歩みを教えてください。

宮本先生

 私は石川県出身ですが、平成元年に上京して、この「千代田経営会計事務所」に就職しました。今年で31年目ですが、事務所の組織化やITを利用したシステムの導入など、事務所の体制整備を行ったことが評価され、3代目の所長に指名されました。  私どもの事務所は「世襲を行わない」「新卒採用をする」ということが、事務所の方針となっています。その方針を50年以上守ってきました。

事務所のHPを見ると「3つの見える化」というものが紹介されています。詳しく教えてください。

宮本先生

 私どもの事務所では「社長の成績表」「長期ビジョンの経営計画書」「月次決算書」を法人向けサービスの3つの柱にしています。  まず、「社長の成績表」ですが、「財務分析表」では、経営者に興味を持っていただけないので「成績表」という言葉を採用しています。  経営者の感心は、結局のところ、「現状は良いのか、悪いのか」に尽きます。そのため、決算書の内容を分析し、金融機関の視点、資金繰りの視点、将来計画の視点で評価した「成績表」を作っています。  次に「長期ビジョンの経営計画書」ですが、私どもは「未来会計」と呼ぶべき、将来を見据えたお手伝いをしたいと考えております。そのためには、目指すべき指標となる長期的な経営計画が必要です。ただ、「将来のために、計画を作りましょう」だけでは経営者に響かないため、課題解決のための道具としての経営計画の有用性をお伝えしています。  おすすめする立場として、私ども自身の経営計画書も、毎年作成し、お客さまにもお見せできるようにしています。  3つ目は、月次決算書です。従来は、顧問先にお渡しする納品物といえば、四半期に1度の試算表でした。しかし、「試算」では経営者は見ようとしません。それを見ていただくために、毎月、決算数字を出す「月次決算書」を用意しています。

大切にしている「マインド」があれば教えてください。

宮本先生

 私の考え方の根底には「つなぐ」ということがあります。  何かと何かをつなげる、あるいは、前の世代から引き継いだものを次の世代に渡していく、ということを行動の規範としています。  現在、会計事務所の所長として、お客さまの成功のため、金融機関やいろいろなものとつながっていくお手伝いをし、また、千代田経営会計をより良い形でつないでいこうと日々奮闘しています。  事務所のスタッフにも「何かをつないでいくこと」の重要さ、素晴らしさが伝わっていれば嬉しいです。

事務所のスタッフに日々伝えていることは何でしょうか。

宮本先生

 会計事務所ではお客さまに人間として信頼されることが、非常に大切です。  そのため、大切にしているのは「あいさつ」です。これができないと、いくら仕事ができても、人間として信頼されません。限られた時間しかお会いできないお客さまであればなおさらです。そして、「信頼」は会計事務所にとって何より大切なものです。ですので、事務所のスタッ フには「あいさつ」をしっかりするということを徹底して指導しています。  また、お客さまに信頼される人間力を身に着けるトレーニングとして、私どもは「掃除」と「朝礼」を重要視しています。毎朝、時間を設け、私や管理職も含めた全スタッフで「掃除」「朝礼」を行っています。

レガシィの教材の使い方を教えてください。

宮本先生

 現在の事務所に足りない知識や考え方を導入・吸収するのに役立てています。実務を体系化したマニュアルなどは非常に重宝しています。

今後の方針・目標を教えてください。

宮本先生

 初代所長、先代所長が引き継いできた、この事務所と企業文化を、発展させた形で次の世代へつなげていきたいと考えております。  千代田経営会計の名は千年続く田、つまり、とこしえに豊かであるという言葉に由来し、千年続く経営のお手伝いをするという思いが込められています。お客さまと私どもがともに千年続いていく、つなげていく、という理想に向けてさまざまな取り組みを行いたいと思います。